着物のお手入れと保管

 着物のお手入れについて

 

お召し頂いた後で

1 着物を脱いだらすぐたたまず、衣桁に掛けて風を通し、湿気と温もりを発散させます。
  2~3時間程度家の中で陰干しをして下さい。
  (体温が残っているうちにしまいますと、カビ易く生地も傷みやすいです。尚、蛍光灯の
  下で長時間吊しておきますと、変色する可能性もありますのでご注意下さい。)
2 たたむ前にはよく着物に目を通し、しみ汚れを調べましょう。
  そのままで、しまい込みますと、取れるしみも取れにくくなります。
  特に汗じみや、果物のしみは、その時目立たなくても後で変色してしまう事があります。
  す。
3 着物をしまう時、しみや汚れが無いか点検してから、たとう紙に包んでしまって下さい。

 

しみを付けたら
1 しみは、日数が経過しますと落ちにくくなります。絹は大変にデリケートです。
  ファンデーションや衿の汚れは、なるべく染物組合加盟店にお任せ下さい。
2 ご家庭で強くこすったりしますと、スレが出てしまいます。絶対にこすらないで下さい。
  また水で濡らしたりしますと、新たな水じみが出てしまいます。素人療法は、かえって
  高価な着物を台無しにしてしまいます。
  なるべく早めにお近くの染物組合加盟店におまかせ下さい。

 

汚れが目立って来たら
1 着物を何度か着て衿・袖口・裾などの汚れが目立ってきましたら丸洗い・生洗いを致し
  ましょう。最近クリーニング店でも京洗いとして扱っていますが、丸洗い・生洗いは、永
  年着物を手がけている和服専門店の京染店・染物店ならば、仕立て崩れせず絹織物に適し
  た特定の方法で風合いを損なわず、丁寧に仕上げます。
  お気軽にお近くの染物組合加盟店にお持ち下さい。

 

洗い張りのおすすめ
1 着物の特徴は、ほどいて水洗いができる事です。丸洗いとの違いは、丸洗いは着物をその
  まま溶剤て洗う事に対して、洗い張りは着物をほどいて反物の状態に戻して洗剤にて水洗
  い、すすぎ、仕上げるのが洗張です。根本的に繊維の中より汚れを落とします。
2 仕立て代も含めて、費用も丸洗いよりかかりますが、和服全般(着物・コート・羽織・長
  襦袢)など新品同様に生地が生まれ変わった様になります。
3 自分の寸法に合わない時、胴裏がカビで黄変した時、八掛の色が合わなくなった時等、
  洗い張りをおすすめ致します。

 

着物の保管について

 

一年に一度は虫干しを
1 虫干しは、お手入れの基本の第一です。着物にとって湿気は、大敵でございます。
2 絹織物は風を通さずにしまっておきますと、糊が湿気を含みカビの原因になります。
  虫干しの適期は、晴天が2~3日続き、空気が乾燥している時、1月から3月の異常乾
  燥注意報が発令されている頃が(寒干し)最適期です。風通しのよい部屋に着物を陰干し
  致します。
3 正しい虫干しは、着物の寿命を延ばします。また、着物をしまう時に、しみや汚れが
  無いかよく点検致しましょう。お天気の良い日にタンスを段違いにあけてタンス全体に風
  を、通すだけでも着物に対して効果的です。

 

保管と水分について
1 最近の生活様式、住宅事情の変化のために室内の水分が多く、冬には暖房をするために室
  内の湿気が多い事が良く知られています。
2 暖房をすると昼夜の温度差が大きくなるために、夜になると室内にある物に結露して水分
  を含むようになり、この繰り返しで着物に水分を多く含んでしまいます。
3 暖房で室温及び湿度も高くなり、カビの増殖の好条件となり、カビの増殖作用を一層、
  活発にしてしまいます。
4 着物を上手に保管するには、たとう紙に一枚ずつ包み、湿気の多い所を避けて出来るだ
  け乾燥している場所を選んで下さい。

 

帯などの金銀糸箔の使用品について
1 帯の大半に、着物にも若干の金銀糸及び箔などが、使用されていますが現在の金銀糸及
  び箔の多くは、銀を素材にしております。銀は、水分があれば、空気中の硫黄分と反応し
  て黒色の硫黄銀を生成し、変色いたします。
2 硫黄分を含む物質は、ゴム製品・ゴム系接着剤を使用した品物・羊毛(漂白剤が残留して
  いる場合)、レーヨン(脱硫不完全の場合)等がありますが、出来るだけ上記品物より離し
  て下さい。
3  又、防虫剤、消臭剤でも反応する場合があり多用しない方がよいでしょう。絹織物の保
  存の決め手は湿気の遮断です。
4 保存中の事故の大半は乾燥によって防げます。高価な絹織物ですので、多少の手間を掛
  けても長持ちさせて下さい。絹は生きています。

 

小物の手入れ
1 帯揚げは、ご使用後は干して湿気を充分抜いた方が良いでしょう。
  その後、四つ折りにしてたたみましょう。目立つシワがついていたら、手でシワを伸ばし
  てから巻いておくのも良いでしょう。
2 帯じめは、使用後よれなどを充分に伸ばし、結ばずに二つ折りか、四つ折りにしてしまい
  ましょう。和紙や半紙で房を巻いておくと房をきれいに保てるでしょう。